2016年 05月 25日
百姓日記74(世の中変えますか) |
1.乳母日傘(おんばひがさ)で育った人に
戦争法案反対の二千万人署名で街を歩いていると、「あの人らにはわがらの暮しや苦労が忘らん」という小母ちゃんに出逢った。「あの人ら」って、安倍首相たちのことだ。
人の物の見方や考え方は、さまざまな経験が土台になってだんだんと巾広く、深くなる。他人に対する思いやりも芽生える。ところが、乳母日傘で育った人には他人の暮しや苦労が分らんという話である。
政治は、国民の苦労にむくいてこそ政治。軍事予算を突出させて、福祉予算を削るといった政治は政治ではありませんネ。
2.石川や浜の真砂(まさご)は尽(つ)きるとも
大盗人石川五ヱ門は捕えられて、京都五条河原の大釜の中で煎(い)られて死んだ。この時五右ヱ門は、辞世の句を一句残している。「石川や浜の真砂は尽きるとも/世に盗人の種は尽きまじ」。
戦後まもなく「吉野熊野開発KK」が生れた。会社は国の補助金を得たいと、中央政界にハバの効くとある代議士に五〇万円ずつ四回、占めて二百万円の献金をした。そして国からは、六百万円の補助金を受け取ったという。私はこの代議士を五右ヱ門になぞらえた。そして、献金をして見返りを求める構図は、今も昔も同じと考える。
「企業献金は政治を腐らせる」と、「政党交付金制度」が生れてから二十年経つ。この間に、六千億円の国民の税金が各政党のフトコロに消えた。もっとも、共産党は受け取らないという。驚いたことに、同党が受け取らない交付金は、国庫に返す訳でもなく、それぞれの政党で山分けするという。
「世に盗人の種はつきまじ」と言ったら言い過ぎか。
3.ビックリ!全面黒塗りの交渉文書――TPP
仰天した。国会で明らかになった政府のTPP交渉文書の記録は、全面黒ヌリであった。黒ヌリで国民には知られたくない、特にこれまで大票田だった農民には知らせたくない交渉内容といって、一体何をかくしているのだろう。
日本の食料の自給率は、長らく四割を切ったままだ。このままでは、日本の農業と農民の被害は広がるばかり。それでも首相は、「日本はこれまでの何倍も儲る」という。頭、大丈夫か。
大企業やアメリカに忠実なアベノミクスの本質が、強烈にあらわれた一幕だった。
4.声を上げると状況が変った
「保育園落ちた日本死ね」というブログが現れて、国会は大騒ぎになった。例えば東京都目黒区では、入所を希望した一九八七人の幼児のうち、半数以上が断られたという。
はじめは「本当かどうか分らない」とバカな回答をしていた安倍首相も、「落ちたのは私です」と子連れのお母さんたちが国会に押しかけると、ようやく幼児の置かれた実情がのみこめたらしい。あわてて保育所の増設や保育士の待遇改善の対策を立てることにした。ついでに、削った福祉予算を元に戻して、更にふやせと言いたい。一般産業とは大きく離れた介護士の給与を上げろと言いたい。ほんとあの人々はな~んにも知らんのだ。
5.シマサルナシの花が咲いて
シマサルナシは、三重県が東紀州の特産品を目指して増殖を進めている果物。キウイに似て、なお小粒で酸味が少いそうだ。
一昨年の秋、私もオス、メス各一本の苗木を分けてもらって畑に植えた。そして今年、沢山の花が咲いた。但、メス花が多い。来年こそは沢山の果物が採れそうである。
6.マタタビの挿し木が着きました
昨年の春、畑に五本のマタタビの挿し木をした。その後、自分自身が体調を崩して手入れは出来なかったが、うち二本は活着したらしくて新たな芽が出た。
ネコにマタタビという。ネコ科のライオンも、その匂いを嗅ぐだけでメロメロになる。マタタビにどんな成分が含まれているのだろう。
古来、人は、マタタビの実を焼酎漬けにして、滋養強壮剤として飲んで来た。熊野灘沿岸地帯では腰痛の薬として飲まれている。秋田県では媚薬としても用いたという。
このほど、「農民連中央」が分析センターを拡充した。マタタビとマタタビ酒の分析について問い合わせている。
7.ピーナツ豆腐は如何ですか
ピーナツ豆腐は全国的に作られているようだ。だが私たちの廻りでは、熊野灘沿岸地帯のとある集落に住むヒロノお婆ちゃん家の家伝の一品のみである。
主な材料がピーナツだから、栄養価は高い。そしてプリプリの食感は、さながら高野山のゴマ豆腐を思わせる。
試食されたい方、秋になったら、ヒロノお婆ちゃんを紹介します。
8.次の選挙でわがらが勝つと
三年前の参議院選挙では、公明党の後押しを受けた自民党は、小選挙区三一区のうち二九区を押さえて大勝した。安倍首相は「今回も勝って憲法を変えたい」という。さて。
アベノミクスの最大の弱点は、常に大企業、財界といった社会的強者の立場から政策を作っていることだ。社会的弱者への手当ては、犠牲が生れてからになる。
ところが今回、小選挙区三二区のうち、大方の選挙区で野党と市民連合の統一候補が生れた。票の分散はなくなった。わがらを取りまく奈良、和歌山、三重でも同じ。勝てば社会的弱者の権利が広がる。消費税の引き上げも先延しになるか取り止めになる。頑張ろう!
9.原発
福島第一原発の放射能漏れ事故から五年経ったが、いまだ復旧のメドは立っていない。けれども安倍首相は、まだともしないうちから、原発売り込みで世界中を飛び廻った。
事実を積み上げて、反省点をかくすやり方は、首相と首相につながる人々独得のものだ。こうした物の見方考え方は「TPP」にも「集団的自衛権」にも、「原発再稼動」にも「歴史認識」にも現れている。その根底を流れるものは「経済」のみ。一言で言ってお金儲けだけ。情ない。
10.新刊紹介 浜矩子著『さらばアホノミクス』
題名のおかしさに注文したが、普通なら二日もすれば届く筈のものが、三〇日目にようやく届いた。中継所にも来ていないという話だったから、発売と共に重版を重ねたようだ。
アベノミクスに疑問を持つ人が、急激にふえたことを思わせた。(毎日新聞社刊、1100円)
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by hyakushonikki
| 2016-05-25 00:00
| 百姓日記